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青の抽象的な背景

農家・農民グループ向け高性能小型籾摺精米機導入のための案件化調査

企業名:株式会社タイワ精機 

対象国:インドネシア国(イ国) 

​期間:2017年9月~2018年10月 


プロジェクト概要


本調査では、提案製品・技術である農家用小型精米機について、技術、経営、環境的視点からイ国の米(長粒米)に対する現地適合性を検証し、将来の普及・実証事業の計画やビジネス展開計画を取りまとめました。   


バリ州の棚田(プロジェクトサイト)

プロジェクト背景と開発課題


イ国は年間79百万トン(2016年)のコメ(籾)を生産する世界第3位のコメ生産国であり、生産量は増加しているものの100%の自給には至っておらず、未だに米の輸入を必要としています。農業省は2015~2019年を対象とした戦略的開発計画にて、農作物の自給達成及び米の付加価値向上による農家の所得増加を目標として掲げています。国内コメ市場におけるプレミアム米(Head Rice の比率が95%以上のコメ)の需要増加に伴い、精米技術の向上が求められています。しかしイ国の精米所の94%を占める小規模精米所(毎時1.5トン未満の処理能力。農民の個人所有を含む)では精米機の性能が低いことから、歩留まりが低く、また高い付加価値を有するプレミアム米の割合も少なく価格が低いまま市場で取引されています。また、工業化の進展に伴い、若年層の都市への流出が続き、地方の農村地域、特に山間地では高齢化及び人材不足が深刻化しているため、農村部での農業従事者の収入向上、省力化が求められています。 


企業の製品・技術


(株)タイワ精機が蓄積してきた「長粒米(ASEAN諸国などで主流のコメ)」用の精米技術を基礎とし、籾摺機能(籾殻を除去する機能)と精米機能(糠の部分を削り取る機能)を兼ね備えた一体型の小型精米機(商品名MS-200)です。農家による利用を想定し、価格と性能のバランスを重視し、開発したものです。 

 

①低砕米:質的ロスの削減 

②高歩留り:量的ロスの削減 

③省力化:籾の投入作業は最初の一回のみの自動型で作業効率の向上 

④省エネ:電気モーター駆動で燃料費及びCO2排出の削減(モーター駆動型の場合) 

⑤省スペース:省スペースモデルであることから、既存施設内への設置が容易 

⑥オプション機能:オプション機器で多様な品質ニーズに対応可能 


左:バリ州の精米所                        右:提案製品の小型精米機


プロジェクトの目標・成果


  • 開発課題分析 

  • 現地適合性確認 

  • 投資環境調査 

  • 市場調査 

  • 競合調査 

  • ジェンダー配慮調査 

  • ODA案件化 

  • ビジネス展開計画 

  • 本邦受入 

 

本調査の主要な成果は以下です。 

  1. 技術、経営、環境的視点から提案技術の現地適合性を検証し、結果が良好であったため普及・実証事業の提案内容を取りまとめ、現地C/Pと条件について合意しました。 

  2. 調査対象地域:本案件化調査後の普及実証事業における提案地域はバリ州タバナン県を想定し、同地域での調査を中心としました。一方で、市場規模が重要となるビジネス展開計画はインドネシア全国を対象とし、ジャワ島の一部でも調査を行いました。その結果、バリ州とジャワ島の双方で普及実証事業の実施候補サイトを確認することが出来ました。 

  3. 調査開始当初、提案企業が自費にて試験機を日本から現地タバナン県農業部紹介の精米所に持ち込み、現地適合性の確認のため精米試験を実施する予定でしたが、結果的には同じ長粒米を生産するタイにて試験を実施し、歩留まり・砕米率の改善を確認しました。 

  4. 市場調査を通じて、バリ州、東・中・西部ジャワのそれぞれで将来の代理店候補を確認しました。 


農業省との会議

JDIの役割


DIは本案件化調査の企画書作成段階から業務完了報告書作成まで、円滑な事業実施のための支援をしました。調査項目としては、ODA案件化(普及・実証事業)の検討、開発課題の分析、市場・競合分析、投資環境調査を担当しました。また、調査実施中には様々な書類の作成・提出が必要になりますが、提案企業が調査業務に集中できるように、それらの書類作成支援も行い、提案企業の作業負担を軽減し効率的な調査の進展に貢献しました。


左:本邦受け入れ活動で製品説明               右:本邦受け入れで富山市長訪問

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