インド・グジャラート州産業廃棄物処理事業案件形成調査
対象地:インド国
期間 :2009年7月~
プロジェクト概要
本事業は、経済発展著しいインドにおいて、今後さらに深刻になると予見される産業廃棄物処理を巡って、日本のリサイクル技術など先駆的な資源回収ノウハウの提供を通じ、リサイクルビジネスを現地で立ち上げることを目指すものです。
背景:インドの経済成長と産業廃棄物の問題
近年、急速な経済成長を遂げ、現在、産業発展に拍車がかかってきているインドですが、その成長と裏腹に‘産業廃棄物処理’の問題が現在深刻な課題となっています。中でもグジャラート州(北西部)は、先進的な投資優遇政策を持ち、これによって有数の産業集積が進む先進州です。そのため廃棄物の排出量は、インド全土で最も多い年間170万トンに上っています。
グジャラート州政府は、投資誘致の取組みと同時に、3R(リデュース、リユース、リサイクル)のコンセプトと、2021年までに廃棄物の埋立をゼロにする目標を掲げ、インド内でも環境問題に対して先進的に取り組んでいます。具体的には、産業政策2009の中でWaste Recovery、Recycling、Rechargeの分野など環境マネージメント事業を州内で積極的に奨励し、排出業者ではなく、環境関連サービス提供を専門的に行う環境ビジネス事業者の誘致を推進する意向を示しています。
目的:日本の環境リサイクル技術の活用
これらを背景として、本事業は、今後も確実に伸び続けると予測されるグジャラート州の産業廃棄物を、日本のお家芸とも言えるリサイクル技術を活用する形で、資源としてとらえ、リサイクルビジネスの確立を目的とするものです。これは、現行の回収・廃棄行程を効率的・体系的なリサイクルシステムに再構築し、日本企業の持つ環境技術や、各自治体が進めているエコタウンモデル(資源循環型社会)のノウハウを日印の官民協力(PPP)のもと進めていくことを目指しています。
現状・課題:廃棄物の回収・リサイクル処理の状況
グジャラート州における、廃棄物の回収・リサイクル処理は、それぞれ部材ごとに行われています。しかしながら、現在は、個々のインフォーマル業者による活動が主となっており、再利用可能な資源となり得る廃棄物が有効に処理されていないというのが現状です。さらに、電子廃棄物(e-waste)ならびにプラスチック類の比較的新しい廃棄物は、未だ回収・リサイクルに関する法的枠組みが存在していません。これらの法的に規定されていない産業廃棄物は、近年の経済成長に伴って急激に増え続けている一方、環境上、労働上適切なリサイクル活動が行われておらず、適正処理を目指す上での法的な対応が求められています。
提案・今後:リサイクルの効率化、資源の高付加価値化
この状況下、JDIは、具体的なリサイクルビジネスのモデル事業を通じて、効率的・体系的なリサイクルシステムの構築を目指す取組みを行っています。一例としては、携帯電話・プラスチック製品と繊維製品を対象とした、資源リサイクル志向のモデル事業を推進しており、日本の持つ環境技術を適応させることにより、リサイクルの効率化、リサイクル資源の高付加価値化の実現を目指しています。なお同事業は、その重要性、実現性が認められ、日印政府が協力して事業を推進するアーリーバードプロジェクトに登録されており、事業の成立に必要な法整備、組織整備等の支援・協力も要請できる体制を整えています。
現在は、日系企業と現地パートナー企業とともに、インドにおいて最適で効率的な資源回収システムの構築(法規制整備とともに補助金、減税策などの事業支援策の提言を含む)、リサイクルプロセスに関わる技術レベルの検証、事業性のあるサプライチェーンの検討を含めた、ビジネスモデルの構築に取り組んでいます。