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青の抽象的な背景

スーパーウェルポイント工法を活用した地盤改良及び洪水対策案件化調査

企業名:株式会社アサヒテクノ

対象国:マレーシア国 パハン州

​期間 :2018年7月~2019年7月


プロジェクト概要


提案企業の技術である「スーパーウェルポイント工法(軟弱地盤の改良技術。以下、SWP工法)」を、洪水や地滑りの頻発するマレーシア国東海岸地域のパハン州(調査対象地)にて技術提供をすることで、軟弱地盤の改良及び防災リスクの軽減に貢献し、以って海外ビジネス展開のきっかけを掴むことを目的とした案件化調査です。全4回の渡航調査を行い、ビジネスパートナーの開拓や、スーパーウェルポイント工法の技術を説明するセミナー及びデモンストレーションを実施しました。

 

プロジェクト背景と開発課題


本案件の発端は、株式会社アサヒテクノとパハン州のパハン国立大学工学部が技術協力の覚書を2016年10月に締結したことに始まります。岩手県を始め、東北の震災復興などに貢献してきたアサヒテクノ社の技術は、災害の多いパハン州でも役立つことが期待されており、パハン大学がその理論や技術検証に協力することを約束していました。 

現地ではカウンターパート候補として、環境自然省傘下の「灌漑・排水局」パハン州オフィスの局長と協議し、洪水の頻発するイサップ地区でのスーパーウェルポイント工法の試験工事と、調整池の拡充、堤防の補修などを組み合わせた実証実験について次期調査にて実施することを合意しました。本案件化調査では、マ国における地盤改良の従来技術(PVD工法、ストーンコラム工法等)において、①地中排水までに時間がかかる、②効果が不十分である、③海岸や河川域などの軟弱地盤における防災工事が不足しているなどを課題として発見し、これらに対してSWP工法を活用することが課題解決に貢献すると考えています。


企業の製品・技術


本調査にて提案する「SWP 工法」は、水中ポンプと真空ポンプを用いて、真空状態を構築することによって、土中含水及び地下水を引き込んで揚水する独自の工法であります。また、鋼管等を用いた気水分離特殊セパレートスクリーンによって、大深度に対しても強制排水を可能とすることに特徴があります。 

工期:1~3ヶ月(超軟弱地盤帯は6ヵ月) 

主な使用箇所:川床、橋梁主脚、トンネル(道路、地下鉄)、港湾接岸部 

有効深度:地盤改良、地下水位低下 1~50m 

必要機材:小型~中型重機、排水用鋼管、排水・真空ポンプ

 

プロジェクトの目標・成果


現地での軟弱地盤の課題に関しては、従来工法の不十分な効果や工事進捗の遅延などが浮き彫りとなっていました。また、洪水の発生が頻繁に起きており、現地には堤防や水門が無いことがわかりました。土木工事の基礎である地盤改良が早期かつ安価に行うことができないが故に、交通インフラの整備や防災インフラの構築が成されないという課題が発生していました。 

これに対し、SWP工法であれば、その工期、単位当たりのコスト、技術的な観点から見ても従来工法と比べて競争性があることがわかりました。現地のカウンターパートや土木工事業者に技術協力をすることによって、インフラ整備が進み、災害リスクの軽減や経済発展が促進されると考えています。本案件化調査を通して、SWP工法のセミナー及びデモを通して、カウンターパートや現地の工事業者に技術に対する理解向上に貢献しました。

 

JDIの役割


本件においては、JICA海外展開支援への応募に関する相談から段階から提案企業と協議を重ね、企画書・調査計画づくり、マ国でのビジネスパートナー選定や、カウンターパート候補への働きかけなどにおいて支援を行いました。またJICAへの報告書執筆や、精算処理などにおいても、その作成や対応を行いました。

今後は、より深く広いレベルでマ国における提案企業のビジネス展開を進めるため、普及・実証・ビジネス化事業の採択に向けて具体的かつ包括的な普及・実証・ビジネス計画を策定し、支援を続ける方針です。 

カウンターパート(CP :灌漑・排水局)との協議 


左:カウンターパート(CP :灌漑・排水局)との協議  

右:パハン州地元のコンサルタント会社に SWP工法をビデオ等で紹介する様子     


SWP工法のセミナーにて、高橋社長の講演
SWP工法の機器の説明を聞く参加者


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