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青の抽象的な背景

中小輸出業者向け貿易研修プロジェクトフェーズ2(第3年次)


対象地:ケニア国

期間 :2010年8月-2012年12月


プロジェクト概要:

本プロジェクトは、ケニア国貿易省傘下の2つの組織:輸出促進協会(Export Promotion Council:EPC)とケニアビジネス訓練研修所(Kenya Institute of Business Training: KIBT)を対象に、職員・コンサルタント・ローカルコンサルタントと共同で貿易研修・クラスター研修・実地研修を行い、カウンターパート及び中小企業の能力強化に貢献しました。

内容:

本プロジェクトは2年半に亘り、研修参加者は貿易研修が16社532名、クラスター研修が301名、実地指導が18社にのぼりました。また研修効果を検証するためのベースライン調査では中小企業997社、大企業120社を対象とし、研修参加後貿易を開始した企業は研修参加前に比べ30%増、平均売上高は169%増の結果となりました。

案件が進行するにつれて、PPP(Public Private Partnership)の概念に基づき、ローカルコンサルタントとカウンターパートであるEPC/KIBTは協力体制を強化しました。各々の機関のトップ、管理職の方々、さらに担当者のトレーニングに対する真剣度が増し、特にKIBT 側においては、最終的には、ほとんどのKIBT 講師が独自に、自ら工夫したトレーニングを実施するなど、我々コンサルタントがの予想を超えた高い結果を出すことができました。

案件実施の中で特筆すべき項目は以下の通りです。

① 日本的研修方法

研修内容の理解を深めるため、ケニア人と日本人のコンサルタントのインタラクティブな進行によるグループ・ディスカッション、行動計画策定のワークショップなどすべての研修において、日本的研修方法が導入されました。典型的なワークショップのスケジュールは、まずファシリテーターが課題の提起をし、Q&A、問題解決のための行動計画策定のグループ・ディスカッションと続き、最後に研修参加者の代表によるプレゼンテーション、講師による講評が行われるというものでした。

② 日本の社会的価値とビジネス倫理

4つの重要なコンセプトが研修内容と全体のプロジェクトマネジメントに導入されました。継続的な改善を意味する「カイゼン」、経営層から現場労働者までもがよりよい結果を目指す「全員参加」、全員が置かれた状況に責任を持つ「公の精神」、そして最後に価値は市場で作られるとの観点から企業の幹部は、全体の組織運営をサポートするファシリテーターであるべきとする「バリュー・マネジメント(価値経営)」です。 

 

③ カイゼンの歌の普及

案件実施中、カイゼンの歌を作成し、クラスター研修などで紹介し、実際に皆で歌ってもらいました。講師も参加者も一緒に歌うことで、マネジメント研修のイメージを変え、KAIZENの概念を身近に感じられたものと思われます。ケニアの文化に欠かせない歌を研修に盛り込むことで、今後も歌を通じてカイゼンの概念がケニアに浸透してほしいものと願っています。

http://www.youtube.com/watch?v=0HeYwkjZY4s 

http://www.youtube.com/watch?v=dRN_e7hYyI0

④     インド研修の実施

古くからのケニアとインドの貿易関係に注目し、ケニアの中小企業とインドのグジャラート州の中小企業との間のビジネス関係の強化を目的に、インド研修を実施しました。参加者はEPC/KIBT職員とケニアの中小企業、大企業から募り、民間企業の参加者については参加費を一部徴収することで、参加者の真剣さを引き出すことができました。インド政府や金融機関による中小企業への支援スキームを学ぶことができたと同時に、研修後インドとのビジネスを実際に開始した参加者もあり、意義深い研修となりました。現在、ケニアのKIBTとインドの諸機関との間で5 つのMOU 締結が検討されています。

http://www.youtube.com/watch?v=gAfogCMwyic 

⑤     コンサルティング・ハウスの設立

クラスター研修が行われたナイロビ郊外のカリオバンギにおいて、ローカルコンサルタントが中心となってコンサルティング・ハウスが設立されました。中小企業が互いに学んだり交流したりすることを目的とし、KIBT講師やローカルコンサルタントは、コンサルティング・ハウスを拠点にクラスター研修の宣伝、実地指導、さらに事務作業の支援、ITサービスを提供することができました。また中小企業300社がメンバーとなり中小企業向け工業団地開発(Viken 30 Industrial Estate)に向けた取り組みが開始され、今後もコンサルティング・ハウスを通じて波及効果が生まれることが期待されます。


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