熱帯地域用小農普及型グリーンハウス事業調査(中小企業連携促進)
企業名:東都興業株式会社
対象国:カンボジア国プランペン市近郊
期間 :2014年6月~2015年5月
プロジェクト概要
カンボジアの気候条件に適応した熱帯地域用施設園芸設備(ネットハウス)の製造・販売に関するFS調査を行いました。
プロジェクト背景と開発課題
カンボジアではノウハウや技術不足のため農業生産量は気候条件に大きく左右されてしまいます。特に園芸作物は雨季になると生産量が減少するため、国内需要の 60%を近隣諸国からの輸入に頼っています。農業省の園芸作物マスタープラン(政策)では、2020年までに園芸作物の自給と余剰作物の輸出を達成すること、及び園芸作物の生産・消費を通じて国内の栄養失調と貧困を削減することを目標としています。そのための主要な手段のひとつとして、施設園芸をはじめとする新技術の導入が位置づけられています。
企業の製品・技術
提案する熱帯地域用施設園芸設備(ネットハウス)は、ハウス全体のカバーに目の細かいネットが使用されており、日射調節のための遮光ネットと雨量調節のためのビニールシートが重ねて展張されているものです。さらに独自の被覆材の止め材によって、隙間を完全に遮断することで、日中のハウス内温度の上昇を抑え、同時に病害虫の侵入を防ぐことが可能です。
プロジェクトの成果(または目標)
本調査の主要な調査項目は以下の通りです。
対象地域地域及び園芸作物分野において、カンボジアが抱える課題の把握
現地法人設立に向けた投資・事業環境の確認
現地生産によるローコストモデル構築の検討
普及のための案件化の可能性検討
本調査の期間中に、現地での適切な部材が確保でき、ローコストモデルのネットハウスを2カ所で実際に設置することができました。また、栽培の技術指導によって、ネットハウス中で野菜を栽培することに成功しました。日本品種のトマトは、現地フランスレストラン等からも高い評価を受けています。
JDIの役割
JDIは、本調査においては、ビジネスモデル検討、調達調査、市場調査を担当しました。また、企画書の作成、案件の全体的管理(現地調査のアレンジ等)、会議資料・報告書作成も支援しました。ネットハウスの技術的検討と事業計画は東都興業が担当し、栽培指導は外部人材として栽培技術専門家が担当しました。
左:ローコストモデルのネットハウス 右:ネットハウス内での栽培の状況
左:ネットハウスで栽培された日本品種トマト 右:ネットハウスで栽培されたバジル
左:ネットハウス建設を終えて 右:キュウリ栽培の様子