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青の抽象的な背景

自走式ジャガイモ収穫機普及に向けた案件化調査

企業名:東洋農機株式会社

対象国:インド国 パンジャブ州

​期間 :2014年10月~2015年5月


プロジェクト概要


提案企業の製品である北海道のジャガイモ農家向けモデルをベースに、カルビー社の要請を受けて、本州の小規模圃場向けに開発されたコンパクトモデル「自走式ハ―ベスタ(TPH179)」の現地向け低コストモデルを、現地パートナーともに開発するための事業計画を策定しました。また、じゃがいもの収穫期(2月)に合わせて日本製品を持ち込み、デモンストレーションするとともに、生産性向上効果を測定しました。


プロジェクト背景と開発課題


インドには世界の3割の貧困層がおり、経済成長を通じた貧困削減を達成することが急務となっています。貧困層の多くは地方部の農民であり、大都市との深刻な格差が存在しています。特に、インド北部のジャガイモ農家(3毛作のため稲作農家と兼業)については、畦道の多い小規模な圃場で、小型トラクターに掘取り機(デッガー)を装着して掘りあげた後、手拾いで収穫しています。このため、歩留まり率が悪い上、最近は十分な数の要員を確保できない圃場も多く、収穫後の稲の植え付けが計画的に行えない等の問題を抱え、農民所得の向上を阻んでいます。こうした悪循環を断ち切り、農業としての生産性向上を図るためにも、ジャガイモ収穫機等による機械化を推進すると同時に、機械を用いたジャガイモ栽培システム(栽培、管理、収穫、収穫後処理・加工、貯蔵・品質管理、マーケティング、灌漑施設整備等)の技術の普及(ODAによる技術協力プロジェクト)を通じて、住民所得を向上させる必要があります。


企業の製品・技術


インドにおけるジャガイモ収穫は、トラクター後部に掘取り機を装着して掘りおこし、大量の要員(年々、確保が困難化している)によって、ジャガイモを手で拾っているのが現状である。掘り取機を装着したトラクターは長さが10m以上となり、小規模で畦の多い圃場では機動性が悪く、掘残しや損傷が多い(つまり、歩留まり率が低い)。また、ジャガイモ収穫後の稲作の計画的作付けにも支障がでている。これに対して、上記のような特徴を有する弊社の収穫機(以下の写真左上)は、機動性に優れ、歩留まり率が高く、水田と畑の混在するインド北部の圃場に適していると言えます。


プロジェクトの目標・成果


現地慣行収穫方法と本収穫機によるジャガイモの収穫量等を比較したところ、本収穫機のほうが歩留り率が良く、人件費のコストダウンが図れるため、数年以内で投資分を回収できると計算しています。また、性能試験と合わせて実施したデモンストレーションでは、全般に収穫機に対して好意的な印象が寄せられており、投資回収期間が数年以内であれば購入したいという農家からの声が多く届きました。このため、本機材を導入して、機械化に合った新農法を普及することによって、生産性の向上及び付加価値の向上が見込まれ、ひいては、農家の所得向上に寄与すると期待されています。


JDIの役割


インドの主要な農機メーカーとのJVを想定して、これら企業の適性評価を行い、ビジネスパートナーの候補を抽出、JVに向けたビジネス協議を支援した。また、JVを進めるにあたって必要となる市場調査、補助金等に関する情報収集、開発課題の設定、事業計画の立案、デモンストレーションの支援等を行いました。

​​本案件化調査後、普及・実証事業へ向けての準備、事業企画も支援し、事業採択に貢献しました。


左:現地での収穫機を使用したデモ               右: 現地での収穫機を使用したデモ


左:収穫機で収穫されたジャガイモ       右:収穫機に関するセミナー

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