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青の抽象的な背景

バングラデシュ国 外国直接投資促進事業案件実施促進支援【有償勘定技術支援】


対象地:バングラデシュ国

期間 :2017年6月-2019年3月

​発注者:JICA


プロジェクト背景と開発課題:

バングラデシュは周辺国と比較しても高い経済成長率を維持してきましたが、バングラデシュ政府は中所得国入りするため、縫製産業と海外労働者からの送金に依存する現在の経済構造から脱却し、輸出と産業の多様化を目指しています。そのためには、製造業を中心とした輸出競争力の高い産業を育成し、海外からの投資促進を図る必要があります。そこで、バングラデシュ政府は2010年に経済特区庁(BEZA)を設立し、国内100カ所での経済特区(工業団地)の普及を進めています。

バングラデシュは1億6000万人という巨大な市場を抱え、その豊富な労働力と安価な人件費は、中国、タイ、インドネシアなどに次ぐ日本企業の投資先として注目が集めており、すでに多くの日本企業が投資・進出を始めています。一方で、不安定な電力・ガスや、アクセス道路・通信インフラ不足、法制度・各種手続きなどの面の不安要素も多く、企業・投資家の進出の妨げとなっています。

このような状況下、バングラデシュ政府は日本からの投資促進を目的とした「外国直接投資促進事業」に対する円借款供与を日本政府に要請し、2015年12月にLoan Agreementが2国間で調印されました。この事業によって、BEZAはバングラデシュ国内に日本企業向けの経済特区を建設することが決まりました。また、建設される経済特区の基礎インフラ整備に加え、進出企業に対する短期・中長期の設備投資のための融資資金提供も本事業で行うことが可能となります。

BEZAとの協議


左:BEZAとの協議                      右:排水処理施設での聞取り調査


プロジェクト概要:

本プロジェクトではJICAとの業務委託契約に基づき、JDIはパートナーコンサルタント会社と共に、BEZAが「外国直接投資促進事業」を実施するための多岐に亘る支援及び調査を実施しました。

本調査では、経済特区建設に必要となる土木(土地造成計画)や発電計画、給水計画などに関し、現地の関連省庁、BEZA、現地コンサルタントらと協議しながら、既存の状況・環境・資源・施設等を確認し、何処に何をどれくらい造る必要があるのかといった調査を行い、その結果を基に様々な計画や図面を作成しました。

広大な土地を必要とする経済特区建設とインフラ建設には土地収用・住民移転が伴うため、誰がどれだけの土地や収入を失い、その人達がどのように補償されるべきかという調査を現地コンサルタントと共に行い、住民移転計画(Resettlement Action Plan)を作成しました。住民移転計画の内容については、周辺住民からの理解を得るため住民説明会を実施し、住民の声・意見が計画に反映されるよう住民移転計画にも記述されました。BEZAはこの住民移転計画に基づいて、土地や資産に対し補償金を支払うことになります。

また、建設工事によって周囲の環境に対し様々な影響が発生します。本調査では現地コンサルタントの協力を得て、経済特区建設に伴う周辺環境・生態系への影響を正しく把握し、その影響を評価し、どのように影響を緩和、または避けられるかを検討しました。また、今後の環境の変化が負の影響をもたらさないようにするためのモニタリング計画も策定され、これらの情報は環境影響評価(Environmental Impact Assessment)報告書として環境局に提出され、承認を受けました。実際の建設工事、及び経済特区運営は、環境影響評価報告書で定められた緩和策やモニタリング計画に基づき実施されることになります。

BEZAは日系の経済特区デベロッパーと経済特区運営会社を設立し、入居企業の評価や運営を行うことになっています。運営に必要となる能力開発や株式投資に関する理解促進を目的としたワークショップを計5回に分けて実施し、BEZAが経済特区を円滑に運営するための能力向上に寄与しました。

そのほか、バングラデシュでは産業廃棄物処理施設が未整備であることから、本経済特区における廃棄物管理・処理についても調査・検討を行い、どこでどのように廃棄物処理を行えるかについての計画を作成しました。



左:既存ガス輸送ライン調査                右:ガス輸送ライン ルート選定調査


JDIの役割:


  • JICA及びBEZA(カウンターパート)担当官らとの協議

  • 調査全体・調査団要員・現地コンサルタントの総括

  • SPC(経済特区運営会社)形成にかかるワークショップ開催:能力開発、及び株式投資に関する法的枠組・理解促進

  • 住民移転計画策定:経済特区候補地の土地収用によって影響を受ける被影響住民の特定、影響調査、補償・特別支援対象者及び対象物の特定、住民説明会実施、補償体制とモニタリング計画、JICA環境社会配慮ガイドラインの遵守[カテゴリA]など)

  • 環境影響評価:土地造成、発電所、変電所、ガス輸送ライン、通信ケーブルなどが対象(各種基礎インフラ整備による環境への影響評価報告書作成、住民説明会、影響緩和策・モニタリング計画の策定、環境許認可取得支援、JICA環境社会配慮ガイドラインの遵守[カテゴリA]など)

  • 産業廃棄物管理計画支援(有害廃棄物処理場調査、一般廃棄物処理場調査、短期的・長期的な提言)

  • 発電計画:発電所(40MW)システム構成、変電所計画、既存電力調査、拡張案

  • ガス輸送ライン調査:ルート選定調査、現地踏査、代替ルートの検討、測量調査、住民移転計画、環境影響評価、ガス公社との協議

  • 排水基準に関する提言

  • 安全・セキュリティ対策に関する提言

パートナーコンサルタントの役割

  • 土地造成計画策定・詳細設計レ

    ベル(測量調査、地盤調査、浚渫・造成計画、積算、DPP作成、図面各種作成)

  • 水資源計画策定:周辺井戸水質調査、地下水水質・水量調査

  • 経済・財務分析・積算



左:住民説明会の様子1                    右:住民説明会の様子2



左:フォーカス・グループ・ディスカッションの様子1 

右:フォーカス・グループ・ディスカッションの様子2 

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